トゲの美しさと不思議さ [トゲの姿]
サボテンがトゲという器官を作り出した仕組みはよく判りません。しかしそのトゲの詳細を眺めると、自然の造形の不思議さや美しさに驚きます。植物がこのようなものを生み出したその力に感嘆してしまうのです。
日の出丸のトゲの拡大画像です。右はちょうど伸び盛りのトゲの姿。左は成長を終えたトゲの姿です。完成したトゲの表面にある段々のひだが何のためにあるのか、なぜできるのかはまだ未知の領域だと思われます。トゲを伸ばす機構の中でこの段々ができるのか、あるいは蜜線の栄養素をトゲ表面に行き渡らせるためなのか、あるいは刺さったトゲが抜けにくくしているのか、謎ばかりです。
途中の境界線の役割もよく判りません。トゲの中で行なわれる成長の反応式だってわかっていないでしょう。でも何らかの反応が進行している境界部分だと思われます。
日の出丸の若い苗のトゲです。なんとも神秘的な雰囲気が漂っています。当たり前のようにこのような変化を引き起こしながら、サボテンは新トゲを出し成長していくわけです。
トゲの伸び方 [トゲの姿]
いま真珠の生きのいい新トゲが出ているところです。5月下旬からトゲの伸長を観察しています。日の出丸や真珠のトゲで明瞭に見える「境界線」がどのように動くのかなと見ているのです。この境界線は、トゲの途中に見られるもので、境界線より先端側ではやや色が白っぽく、そして細く伸びている形になります。境界線より根元側では、トゲ色が鮮やかでかつトゲの幅が広いという違いが観測されます。トゲ全体の長さが伸びる際に、境界線より上の部分が伸び、トゲの色は色素が引き伸ばされて褪せていくように思います。
5月28日
この段階で、境界より先端部分がぐんぐん伸びているように思います。根元の方はあまり変化はしません。
6月8日
すこし観察しているアングルが異なりますが、トゲの幅が小さくなるのと同時に伸びているように思います。
6月9日
境界線より上の部分が固い本来のトゲの姿になり、根元の部分はいずれ消えると考えていたのです。でも8日と9日の画像を比べると、境界線もトゲの先端の方に一緒に伸び上がっていくようにも見えます。考えていたイメージとはかなり異なる複雑な伸び方です。
新トゲのアルバム [トゲの姿]
なまめかしいトゲ [トゲの姿]
透明で妖しい感じのトゲがあります。とくにギムノ系の海王丸や多花玉の新しいトゲは、とても不思議なトゲです。赤い色素がぬけたその抜け殻みたいなトゲです。
多花玉の新トゲが出ています。むしろ緑と言ったほうがいいかもしれません。
こちらは金碧のトゲ。もともとトゲの根元に色がつかないのが金碧だそうでほんとうになまめかしいです。
海王丸の幼苗です。緑色の太いトゲが出始めました。
この3種のサボテンはもともとひとつから分化したのかもしれません。あまりにも似ています。
それにつけて思うのは、ギムノ系のサボテンはあまりにも範囲が広く、ギムノ系サボテンは、さらにサブグループに分けることができるのではないかな・・・と思います。上記の海王丸系のグループもそうですし、たとえば光琳玉と天平丸はよく似たサボテンです。バッテリなども変種がたくさんあってひとつのグループになっているように感じます。いかがでしょうか。
武装するサボテンたち [トゲの姿]
モンスタートゲ(豪刺)が出ると・・・ [トゲの姿]
トゲマニアにとって、あるときからモンスターのようなトゲ(豪刺)が出現してくると、とてもうれしいものです。業界用語で、化けるとか、出世するとか言うこともあります。不思議にも、あるサイズまで成長してから突然始まるみたいで、じょじょにトゲが太くなるわけではありません。トゲを生み出すエネルギーのレベルがステップ状に上がっていくようです。それまで平凡だった苗が突然変化するので、化けるという言い方をするのでしょう。なので、平凡に見える苗でも忍耐強く育てていくことは大切ですね。
実生から育てている日の出丸です。ちょっと新トゲが太いので期待感が膨らんでいます。
こちらも同様に期待しているのですが、これからどうなりますか。
神仙玉のトゲが、化けそうな雰囲気です。異常なくらい太いトゲが出てきました。
豪刺の遺伝子を持っている緋冠竜の苗。サボテン師匠のご子息が愛培している苗を、分けてもらったものです。同じ系統の遺伝子を持つ種子もいただいたので実生中です。
トゲの法則 [トゲの姿]
日の出丸の栽培をしていると、トゲの法則に気づくことがあります。その理由はわかりません。経験的に当てはまっていそうな法則です。例えば、赤いトゲほど太さの方は細くなるようです。逆に言えば、褪せた色のトゲほど太いということになります。下の2つの画像は、おなじ日の出丸ですが、正反対のトゲをしています。
この苗は、栽培している中でいちばん赤みの強いトゲをしていますが、トゲのかたちはほっそりとしています。
こちらは色がいちばん褪せていて、金鵄玉のような苗ですがトゲの立派さはなかなかのものだなと思います。で、残念ながら赤みが強くそして太いトゲというのはないのです。それが出来たら最高だと思うのですが、そんな虫のいいことは起こらないようです。
これが正しいのならば、日の出丸より金鵄玉のほうがトゲが太くて立派ということになります。栽培している苗を比べるとそんな気もしているのですが・・・いかがでしょうか。
下の2つの画像は、一緒に実生して栽培している日の出丸の小さな苗です。上の方は比較的トゲの赤みが強いもの。下の方は新トゲが伸びきる過程で、側トゲが白くなってしまうもの。たいてい後者の苗が多いのです。今後トゲの形状が、どのような変化するのか観察していこうと目論んでいるわけです。
勢いを感じる [トゲの姿]
そろそろ新しいトゲが [トゲの姿]
トゲものサボテンたちは [トゲの姿]
冬の間は、カビやら汚れの発生がなくてトゲものサボテンたちの姿がきれいに見えます。実際に確かめるのは難しいですが、自浄作用があってサボテン自ら、トゲをクリーニングしているように感じてなりません。成長して伸びたりこそしませんが、トゲの健康管理をしているかも。
紅裳竜ですが、何年か前に見えない側にカイガラムシがびっしりとついてしまって、気がつかないことがありました。体表面に寄生して皮膚を食べてしまうようで、カイガラムシを駆除しても緑の肌表面が真っ白になってしまいました。このごろやっと回復してきたみたいで、トゲの色も冴えてきている感じがしています。
こちらも紅裳竜です。このタイプのトゲの姿もけっこう好きですね。
数年前か駄モノ(?)として購入した金冠竜です。トゲモノを交配しているらしい趣味家が、オークションに出品したサボテンですが、なんでも赤色のトゲをねらったが、黄色とも赤ともつかない中間色になってしまったというようなことを言われていました。買った当初は朱色でしたが、トゲの姿はなかなかいいなと買ったもの。最近、鑑賞できるようになったと思います。根元には朱色が残っていますが、トゲ色は黄色に近くなったようです。